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弁護士インタビュー / 留学・出向経験者

谷英樹弁護士 (60期)

Q1. 公正取引委員会に出向しようと思ったのはなぜですか。

私は、大学時代に独占禁止法を学んで興味を持ち、弁護士になったら独占禁止法を専門分野の一つにしたいと思っていました。 2年目に大型のカルテル事件を担当しましたが、その事件では、課徴金減免申請に始まり、公正取引委員会の審査への対応、排除措置命令・課徴金納付命令に対する審判請求、審決取消訴訟までを担当し、とてもやり甲斐を感じました。その後も何件かカルテル事件を担当しましたが、その中で公正取引委員会がどのような考え方で独占禁止法を運用・執行しているのかに興味を持ち、実際に自分で見てみたいという思いが強くなりました。 将来的に自分が独占禁止法を専門分野の一つにすることを考えたときに、一定期間、独占禁止法を執行する公正取引委員会で集中的に実務を経験して専門性を深めることは仕事の幅を広げるために有意義ではないかと考え、自分からパートナーに公正取引委員会へ出向に行かせて欲しいと希望しました。

Q2. 出向中の仕事はどのようなものでしたか。

私は、7年目のときに公正取引委委員会に出向し、3年間の任期付職員として勤務しました。出向中は、審査局企画室の審査専門官として、事件の立入検査、幹部へのレク、公正取引委員会が出す排除措置命令・課徴金納付命令等のチェック等を行っていました。

公正取引委員会では、事件担当課と事実認定・法令解釈を議論しながら、実際に事件が立件されてから処理されるまでの過程を見ることができました。事件の種類としても、カルテル事件・入札談合事件にとどまらず不公正な取引方法に関する事件も取り扱いました。

Q3. 出向して良かったことは何ですか。

私が出向に行く前は、独占禁止法に限らず、一般企業法務、訴訟、事業再生・倒産、M&Aといった様々な仕事をしていました。出向に行くことでそのような独占禁止法以外の仕事は一旦リセットされますが、やはり独占禁止法の分野で集中的に経験を積みたいと考えたときに独占禁止法を執行する公正取引委員会に行ったのは正解だったと思います。

そして何よりも公正取引委員会の実務や考え方を目の当たりにすることができたのは大きな収穫でした。これは、その世界に飛び込んで自分で経験することが重要であり、座学ではなかなか学べないことだと思います。
公正取引委員会は大きな官庁ではなく、幹部と職員の垣根が低かったのも良かったです。同僚をはじめ、出向中に知り合った方々との人脈も私の財産になっています。

Q4. 出向の経験はその後の業務にどのようにつながっていますか。

事務所に復帰してからは、独占禁止法に関する相談、独占禁止法が関係する紛争、企業結合規制への対応を行っています。依頼者から、独占禁止法に関するコンプライアンスの研修を頼まれることもあります。独占禁止法関連では、具体的に規制当局がどのように考えるか、また、それを踏まえてどのような実務対応をすべきなのかを実践的にアドバイスできるようになったと思います。下請法や景表法といった独占禁止法に関連する分野についても相談を受けることが多くなりました。

私は、公正取引委員会への出向で培った経験を自らが提供するリーガルサービスと融合することで、クライアントのために独占禁止法・下請法・景表法に関する的確なリーガルサービスを提供していくことはもちろん、企業のコンプライアンス経営のために役立てていきたいと考えています。

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